ドメイン取得サービスの比較記事はたくさんありますが、ほとんどが「1年目の取得料」で並べています。
私はその選び方で失敗しました。正確には、取得料を気にするあまりサーバーの特典で付いてきた無料ドメインを使ってしまい、サーバーを解約したときにドメインごと失いました。
この記事では、価格だけでなく**「あとで持ち出せるか」**という観点を軸に5社を比較します。
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⚠️ 料金は2026年8月時点に各社・比較サイトで公開されていた情報です。ドメイン料金は為替や規約変更で頻繁に変わるため、申し込み前に必ず公式サイトで最新価格を確認してください。
私のドメイン遍歴(と失敗)
まず立場を明かしておきます。私が実際に使ったのはムームードメインとCloudflare Registrarの2つだけです。他の3社は公開情報をもとに比較しています。
遍歴はこうです。
- ムームードメインで独自ドメインを取得(最初のブログ)
- レンタルサーバー(Xserver)契約時、特典で付いてくる無料ドメインに乗り換え
- Xserverを解約してブログを作り直す際、Cloudflare Registrarで新規取得
問題は2番目です。「無料」に釣られて、サーバー契約に紐づいたドメインへ乗り換えたこと。
サーバーの特典ドメインは、サーバーを解約した瞬間に失効します。当然ながら移管もできません。結果として、そのドメインに溜まっていた検索評価を失いました。当時は記事5本の小さなブログだったので傷は浅く済みましたが、記事が積み上がってからでは取り返しがつきません。詳しくはWordPressをやめた話に書いています。
ドメインは、サーバーと切り離して自分で持っておくべきでした。これが比較の出発点です。
比較表①:.comの料金
| サービス | 取得料(1年目) | 更新料(2年目以降) |
|---|---|---|
| Xserverドメイン | 0円 | 1,721円 |
| お名前.com | 0円 | 1,778円 |
| スタードメイン | 980円 | 2,047円 |
| ムームードメイン | 972円 | 2,182円 |
| Cloudflare Registrar | 約1,700〜1,900円 | 約1,700〜1,900円 |
出典: 国内4社は小銭スト調べ(2026年8月5日時点)/Cloudflareは原価提供でUSD建て($11.84・為替により変動)
取得料の差は2年で消える
取得料の差は最大でも980円です。しかもこれは1回きり。一方で更新料の差は最大461円が毎年かかります。
980 ÷ 461 ≒ 2.1。つまり2年ちょっとで、取得料の差は更新料の差に飲み込まれます。
分かりやすいのがムームードメインとスタードメインです。取得料はムームーが8円安いのですが、2年目の累計では3,154円 対 3,027円でもう逆転しています。
比較記事が「1年目0円」を大きく打ち出しがちなのは、そこが一番派手に見えるからです。実際に効いてくるのは更新料です。
なお今回のデータでは、Xserverドメインが取得料・更新料とも最安で、1年目から10年目まで順位が変わりません。
見落としやすい「サービス維持調整費」
もうひとつ、表示価格だけでは見えないコストがあります。
国内のいくつかのサービスは、**「サービス維持調整費」**という追加手数料を取っています。
これは表示価格に含まれるものではなく、基本料金に対してパーセンテージで別途加算されます。お名前.comの公式ヘルプにこう書かれています。
ドメイン全般、各種オプションサービスに対して別途加算される
料率は各社こうなっています。
- お名前.com: 27%(2026年8月時点)
- ムームードメイン: 26.25%(2026年5月時点)
- バリュードメイン: 20%〜
出典: 小銭スト
20%を超える上乗せなので、価格表の数字だけ見て申し込むと請求額に驚きます。
厄介なのは「料率が変動する」こと
金額の大きさ以上に問題なのが、この料率が固定ではないことです。お名前.comは市場動向に応じて1〜3か月ごとに見直すとしており、実際に導入時の10〜20%から現在の水準まで上がっています。
つまり来年の更新料がいくらになるか、契約時点では確定しません。
全社が導入しているわけではない
一方で、Xserverドメインの公式ページを確認したところ、サービス維持調整費の記載はなく、価格は税込表記でした。
なお上の比較表①の金額は、調整費を含めて比較した数値です(出典元がその前提で集計しています)。ただし各社の公式価格表では別建てになっているため、最終的には申し込み画面の請求額で確認してください。
Cloudflare Registrarという選択肢
私が現在使っているのがこれです。仕組みが他社とまったく違います。
Cloudflareはドメインを原価で提供しています。 レジストリの卸値とICANNの手数料だけを取り、マークアップを乗せません。.comの更新料は2025年時点で年$11.84程度(ICANN手数料込み)でした(出典)。
原価提供でも「最安」とは限らない
ここは正直に書きます。$11.84を円換算すると、こうなります。
| 為替 | 円換算 |
|---|---|
| 145円/USD | 約1,717円 |
| 150円/USD | 約1,776円 |
| 160円/USD | 約1,894円 |
Xserverドメイン(1,721円)とほぼ同等で、円安が進めば上回ります。
Cloudflareの利点は「安さ」ではなく、1年目と2年目以降で価格が変わらないことです。1年目だけ安く見せる構造がそもそもありません。
ただし為替リスクは残る
ここも正直に書いておきます。「将来のコストが読める」とまでは言えません。
USD建てである以上、円で払う側には為替変動がそのまま乗ります。上の表のとおり、145円/USDと160円/USDでは年間177円変わります。
つまり、どちらを選んでも変動要因はあります。違うのは性質です。
| 変動する理由 | |
|---|---|
| サービス維持調整費 | 事業者が料率を決める(1〜3か月ごとに見直し) |
| Cloudflare(USD建て) | 為替相場(事業者の裁量ではない) |
どちらが良いかは考え方次第です。事業者の判断で一方的に上がるのが嫌ならCloudflare、円建てで金額が確定しているほうが安心なら国内サービス、という選び方になります。
制約もある
一番大きいのがネームサーバーの制約です。Cloudflareの公式FAQにこう明記されています。
No, all domains on Cloudflare Registrar use Cloudflare nameservers, so that we can protect and speed up your content or services. (Cloudflare Registrarのドメインはすべて Cloudflare のネームサーバーを使用します)
つまりドメイン全体のDNSをRoute 53など他社に向けることはできません。公式が挙げている代替手段は次のとおりです。
- サブドメイン単位なら他社サービスに委譲できる(NSレコードでの委譲)
- カスタムネームサーバー(Business / Enterpriseプラン)でCloudflareのNSに独自名を付けることは可能
- どうしても他社DNSを使いたいなら、ドメインごと他レジストラへ移管する
その他の制約はこちらです。
- .jpなど一部のTLDが非対応
- USD建てなので、円安局面では円換算が上がる
なおドメイン自体は他社へ移管できます。ネームサーバーが固定なだけで、サーバー特典の無料ドメインとは根本的に違います。
DNSもCloudflareに寄せる前提なら、コスト構造は最も透明です。逆に「DNSはRoute 53で一元管理したい」といった要件があるなら、そもそも選べません。
比較表②:移管の観点
この記事の本題です。価格表には出てこない部分をまとめます。
| サービス | ネームサーバー | サーバー契約への紐づき |
|---|---|---|
| Xserverドメイン | 自由 | 単体契約ならなし |
| お名前.com | 自由 | なし |
| スタードメイン | 自由 | なし |
| ムームードメイン | 自由 | なし |
| Cloudflare Registrar | Cloudflare固定 | なし |
ドメイン単体で契約していれば、どのサービスでも移管できます。 認証コード(AuthCode)を発行して他社へ移す手続きが用意されています。
問題は、サーバー契約の特典で付いてくる無料ドメインです。これはドメイン単体の契約ではないため、移管という選択肢自体がありません。私が失敗したのはここです。
「サーバー代にドメイン代が含まれてお得」に見えますが、サーバーを乗り換える自由を手放しています。
なお、ICANNの規則で登録から60日間は他社へ移管できません。これはどのサービスでも共通です。
結局どれを選ぶか
取得も更新も安く済ませたい
今回のデータではXserverドメインが最安クラスです。ただし**「サーバーとセットの無料ドメイン」は前述の理由で慎重に**判断してください。ドメイン単体で契約するなら問題ありません。
情報量で選びたい
お名前.comは登録実績が多く、扱うTLDも豊富です。解説記事が多いので、詰まったときに調べやすいのは利点だと思います。更新料は1,778円で2番目に安い水準です。
取得料も更新料もバランスを取りたい
スタードメインは取得料980円と今回で最も高い一方、更新料2,047円はムームードメインより安く収まります。長く使う前提なら、ムームーより累計で有利になります。
最初の1本目に
ムームードメインは私が最初に独自ドメインを取得したサービスです。国内サービスなので日本語で完結し、情報も多いのは確かです。
ただし更新料は今回の5社で最も高く(2,182円)、サービス維持調整費も26.25%上乗せされます。長く使うほど効いてくる点は把握したうえで選んでください。
DNSもCloudflareに寄せるなら
Cloudflare Registrarです。円換算では最安ではなく為替リスクもありますが、事業者の裁量で価格が動かないのが利点で、私も現在はここを使っています。ネームサーバーが固定される制約を許容できるかが分かれ目です。
まとめ
- 比較記事は1年目の取得料を強調しがちだが、効いてくるのは更新料。取得料の差(最大980円)は2年ちょっとで飲み込まれる
- サービス維持調整費(20〜27%)を別途加算するサービスがある。しかも料率は1〜3か月ごとに見直され、来年の更新料が読めない。Xserverドメインは公式に記載なし
- Cloudflare Registrarは原価提供だが、円換算では最安ではなく為替リスクも残る。1年目と2年目で価格が変わらないのが利点。ただしDNSはCloudflare固定
- 最重要は「サーバー契約に紐づいていないドメインか」。特典の無料ドメインは解約と同時に失効し、移管もできない
- 私はここで検索評価を失った。ドメインはサーバーと切り離して持つ
安さで選ぶこと自体は悪くありません。ただ、そのドメインを他所へ持っていけるかどうかは、契約前に必ず確認してください。あとから変えられない部分です。
移行の顛末はWordPressをやめてサーバー代をゼロにした話に、技術的な手順はZennの記事にまとめています。