個人ブログをWordPressで運用するのをやめました。
「ブログといえばWordPress」だと思い込んでいたのですが、自分の運用実態に対してコストと手間が明らかに見合っていないと気づいたためです。
この記事は技術の解説ではなく、やめると決めた判断の記録です。同じように「更新が止まっているブログにサーバー代を払い続けている」人に向けて書きます。
やめる前の状態
移行前はこうでした。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 構成 | レンタルサーバー(Xserver)+ WordPress |
| ドメイン | サーバー契約の特典で貰った無料ドメイン |
| 記事数 | 5本 |
| 更新頻度 | ほぼ止まっていた |
問題は明確でした。記事5本・更新停止中のブログに、月額のサーバー代を払い続けていたということです。
やめると決めた3つの理由
① 収益がコストに追いついていなかった
アフィリエイトを貼ってはいましたが、記事5本では当然ほとんど発生しません。維持費のほうが確実に大きい状態が続いていました。
「いつか書くから」で維持していたのですが、その「いつか」が来ないまま年単位で経っていました。
② 保守が地味に重い
WordPressを自前で持つと、本体とプラグインの更新、バックアップ、改ざん対策が付いてきます。
私は本職でAWS環境の運用保守をしているので、この手の保守が「軽い」とは思えません。管理画面にログインするたび更新通知が溜まっていて、それを消すために時間を使う。書くためのブログなのに、維持のための作業が発生していました。
③ 記事5本なら静的サイトで足りる
WordPressの強みは、管理画面から誰でも更新できることと、プラグインで機能を足せることです。
しかし自分ひとりが月に数本書くだけなら、この強みはほぼ効きません。動的に生成する必要もなく、コメント欄も使っていませんでした。
移行後:月々の固定費がゼロになった
移行後の構成はこうです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 構成 | Astro(静的サイト生成)+ Cloudflare Pages |
| ドメイン | 新規取得(Cloudflare Registrar) |
| ホスティング費用 | 無料枠(0円) |
| 保守 | 実質なし |
サーバー代がまるごと消えました。 Cloudflare Pagesは個人ブログ規模なら無料枠で収まり、mainにプッシュすればビルドとデプロイが自動で走ります。
残るのは年1回のドメイン更新費だけです。毎月出ていく固定費はなくなりました。
そしてWordPressの更新通知が消えました。静的サイトはビルドした成果物を配るだけなので、そもそも攻撃対象になる動的な仕組みがありません。
失敗:ドメインが失効してSEO資産を引き継げなかった
正直に書いておきます。これが今回一番の失敗でした。
旧サイトのドメインは、レンタルサーバー契約の特典で貰った無料ドメインでした。つまりサーバーを解約すると同時に失効します。
301リダイレクトは、リダイレクト元のドメインが生きていないと機能しません。つまりこの構成では、旧URLに溜まっていた検索評価を新ドメインへ引き継げません。新しいドメインでゼロから積み直すことになりました。
移行を決めたあとに気づいたので、もう選択肢がありませんでした。「無料ドメイン」は、サーバーを続ける限りにおいて無料なのだと理解しておくべきでした。
同じ構成の人は、移行を考え始めた時点で以下を確認してください。
- 旧ドメインを別のレジストラへ移管できるか
- できない場合、検索評価をゼロから積み直す前提でよいか
記事数が少ないうちなら失うものも少ないので、やるなら早いほうがいいとも言えます。私の場合は5本だったので、まだ傷が浅いうちに動けた形です。
教訓:ドメインは自分で取っておく
今回の失敗から言えるのは、ドメインだけはサーバーと切り離して自分で取っておくべきだということです。そうしておけば、サーバーを乗り換えても引っ越し先にそのまま持っていけます。
私は移行にあわせてCloudflare Registrarで新規取得しましたが、ドメインは取得先を自由に選べます。年額で数百円〜数千円の世界なので、サーバー特典に頼らず最初から自分で持っておくほうが、長い目で見て確実に得だと思います。
取得料ではなく更新料とサービス維持調整費で比べるべき理由は、別記事にまとめました。
もうひとつの誤算:ASPの再登録が必要だった
ドメインが変わるので、アフィリエイトの各サービスに新しいサイトとして登録し直す必要がありました。
- Amazonアソシエイト
- A8.net
A8.netは登録サイトのURL変更で対応できましたが、記事内の広告タグをドメイン単位で発行している場合は差し替えが必要です。移行のチェックリストに「ASPの登録変更」を入れておくと安全です。
なお1社は、新サイトの審査待ちが続いたため、掲載していたリンクをAmazonに寄せて退会しました。移行は使っているサービスの棚卸しのきっかけにもなります。
移行して困ったこと:書く手間は確実に増える
良いことばかりではありません。
管理画面がなくなります。 記事を書くにはMarkdownファイルを作り、コミットしてプッシュする流れになります。スマホから思いついて書き足す、といったことはできません。
画像も同様です。WordPressならメディアライブラリにドラッグして終わりですが、静的サイトでは所定のフォルダに置いてパスを書きます。
私はエディタとGitに抵抗がないので許容範囲ですが、そこに抵抗がある人には向きません。ここはWordPressの明確な強みだと思います。
こんな人は移行を検討する価値がある
向いている人
- 記事数が少なく、更新が止まっているブログにサーバー代を払っている人
- Markdownとgitに抵抗がない人
- 保守作業そのものを減らしたい人
向いていない人
- 管理画面から手軽に書きたい人
- プラグインで機能を足していきたい人
- 旧ドメインを維持できず、既存の検索評価が大きい人(失うものが大きい)
まとめ
- 記事5本・更新停止のブログにサーバー代を払い続けていたのが移行の動機
- Astro + Cloudflare Pagesにして月々の固定費はゼロ(残るのは年1回のドメイン更新費のみ)
- WordPressの更新・バックアップ・改ざん対策という保守がまるごと消えた
- ただし無料特典のドメインは失効するため、SEO資産を引き継げなかった(最大の失敗)
- ASPの登録変更も必要。移行チェックリストに入れておくべき
- 書く手間は増える。管理画面の手軽さは失う
「いつか書くから」で維持費を払い続けているブログがあるなら、構成を見直す価値はあると思います。ちなみに移行後の数日で、記事は5本から20本を超えるところまで増えました。
技術的な手順とハマりどころは、エンジニア向けにZennへ別途書きました。Content Collectionsのスキーマ定義、画像最適化、draftの扱いなど、実装で詰まった箇所をまとめています。