このブログでは、記事の下書きをAIエージェントに任せています。
ただし書きっぱなしで公開しているわけではありません。ネタを決めるのも、写真や価格などの素材を渡すのも、出てきた原稿を読んで間違いを指摘するのも私です。公開しているのは、私が目を通して直したものだけです。
10日間で30本を公開しました。ただし、そのまま出せたものは1本もありません。私のレビューで、公開前に38回の修正が入っています。
この記事では、AIが何を間違えるのかを全件分類して書きます。宣伝でも批判でもなく、記録です。
進め方
役割はこう分かれています。
| 担当 | 内容 |
|---|---|
| 私 | ネタを決める/素材(写真・価格・使用感)を渡す/原稿を読んで間違いを指摘する/公開の判断 |
| AI | 調査・下書き・画像処理・PR作成 |
文章を組み立てる作業の大半はAIが担っています。ただしその原稿は、必ず一度私の手を通ります。
1記事につき1つのPRを出してもらい、私がレビューして、指摘した点が直ってからマージします。この記事の「38回」は、そのレビューで実際に発生した修正の数です。
つまりこの記事の数字は、AIの失敗の記録であると同時に、人が読まなければ何が通ってしまうかの記録でもあります。
何を間違えたのか
38件を分類しました。
上から順に見ていきます。
1. 体験していないことを書く(16件)
これが最多で、最も厄介でした。
旅行記を書かせたときに集中して起きました。写真とわずかな情報を渡すと、その隙間を埋めるように、もっともらしい描写が入ります。
実際に消した例です。
- 訪れていない街を「再訪した」と書いた
- 乗っていない直行便がなかったと断定した
- 使っていない保管方法を書いた(実際は別の場所で乾燥保管していた)
どれも文章としては自然で、読んでも違和感がありません。だから危険です。事実を知っている本人が読まないと、素通りします。
ある旅行記では、指摘した結果15箇所の創作が見つかり、全面的に書き直しになりました。
同じ系統で、写真の読み違いもあります。
- ジェットウォッシャーの水圧レベル表示の位置を、側面と書いた(正面が正しい)
- キーボードの全景と側面を取り違えた
写真は渡してあります。それでも間違えます。画像を「見た」つもりで、実際には推測で書いていることがある、ということです。
2. 調べずに断定する(5件)
こちらは検証すれば防げるものです。
- 「Cloudflareなら将来のコストが読める」と書いた → 為替リスクを無視していた
- ドメインのサービス維持調整費について、根拠のない書き方をしていた
- コーヒー豆の冷凍保存を、一方の説だけで断定していた
この経験から、調査ベースの記述には出典を本文に置くというルールを決めました。出典を示せない主張は書かない、という運用です。
3. 商品リンクを取り違える(5件)
収益に直結する部分でも間違えます。
- ASINから商品を特定した際、手袋とジャケットを取り違えた
- 黒いマウスの説明文に、白いモデルのリンクを貼った
- スマートフォン専用の広告素材を、PCでは表示されないまま使っていた
4. 体裁・表示の不具合(6件)
記事の中身ではなく、見え方の問題です。
図の矢印がスマホで意図しない位置に入ったり、型チェックのエラーが残っていたり、アイキャッチがフリー素材のままだったり。ビルドが通っても、見え方が正しいとは限りません。
5. 表現が不自然(4件)
内容は合っているのに、書き方が引っかかるものです。
「ここで線を引いておきます」といったいかにもAIらしい言い回しや、専門用語をそのまま使ってしまう例がありました。EXIFという語をそのまま見出しに使っていたのも、読者を選びすぎるという指摘で直しています。
6. プライバシーを見落とす(2件)
- 旅行写真に第三者の顔が写ったまま使おうとした
- 別の写真では、同行者が特定され得る状態だった
なお、この件をきっかけに公開する写真からは必ずEXIFを削除する運用にしました。詳しくは写真データを見ると旅程がわかるに書いています。
番外:思い込みを検証しない
件数として分類したものではありませんが、性質が悪いので書いておきます。
書いている途中で「たぶんこうだろう」と思ったことを、そのまま書こうとする場面が何度かありました。
| 書こうとしたこと | 実際 |
|---|---|
| 一眼カメラにGPSはない | 手持ちのOM-3は200枚中200枚に記録されていた |
| このブログはCloudflare Pages で動いている | 実際は Workers だった |
| メッシュWi-Fiが不安定の原因 | 設定(二重ルーター)の問題だった |
いずれも書く前に実データを確認して気づきました。確認しなければ、そのまま公開されていたはずです。
効いた対策
試行錯誤の結果、次の5つが実際に機能しています。
1. PRに「要人間確認ポイント」を必ず書かせる
AIが自信のない箇所を自己申告する欄です。「価格は伺っていないので書いていません」「この使い分けは私が整理したものです」といった申告が出てきます。
レビューする側はそこを重点的に見ればいいので、負担が減ります。
2. 写真は必ず開いて確認させる
ファイル名や説明で済ませず、画像そのものを見る。これで前述の「読み違い」がかなり減りました。
3. 数字は実測させる
記憶や推定ではなく、手元のデータを数える。
このブログの記事も、カメラ3台の比較は撮影ファイルを全部数えていますし、EXIFの記事は175枚の写真を集計しています。数えた数字は間違えません。
4. 出典を本文にリンクで置く
調べた内容は、リンクを本文に埋める。書けないなら、その主張を落とす。
5. 見た目は実際に描画して確かめる
図やレイアウトを「理屈上こうなるはず」で押し切って、スマホ表示が崩れたことがありました。以降、ブラウザで実際にレンダリングして確認しています。
任せられること、任せられないこと
10日やってみた実感です。
任せられる
- 調査と一次情報の収集(出典を明示させる前提で)
- データの集計。むしろ人間より正確で速い
- 画像処理(変換・リサイズ・メタデータ削除)
- 構成と下書き
- 定型作業(PR作成、リンク整備、ビルド確認)
任せられない
- 自分が体験したことの記述。ここは素材を渡しても創作が混ざる
- 事実確認の最終判断。間違いに気づけるのは、事実を知っている人だけ
- 何を書くかの決定
まとめ
- 下書きはAI、レビューと公開判断は私という分担。10日で30記事を出し、公開前に38回直した
- 最も多い誤りは体験していないことを書く(16件)。文章として自然なので気づきにくい
- 調べずに断定する(5件)、商品リンクの取り違え(5件)、プライバシーの見落とし(2件)も起きた
- 「一眼にGPSはない」「PagesではなくWorkersだった」など、思い込みは実データで潰すしかない
- 効いた対策は、自己申告させる・写真を開かせる・数を数えさせる・出典を貼らせる・実際に描画させるの5つ
下書きをAIに任せる進め方は、現実的です。 実際、この記事も含めて30本を公開できています。
ただし**「出てきた原稿を、事実を知っている人間が読む」工程は省けません**。この記事の38件は、その工程があったから止められたものです。省いていれば、自然な文章の姿をした間違いが、そのまま公開されていました。
このブログの運営まわりは、WordPressをやめた話やホスティング代を0円にした構成にも書いています。